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祥月命日なり

2010/05/09 05:14

 

きょうは 父の命日なり

あしたは 母の命日なり

あさっては 息子の命日なり

しあさっては 祖父の命日なり

やなあさっては 祖母の命日なり

 

春は 息子の命日なり

夏は 父の命日なり

秋は 祖父と祖母の命日なり

冬は 母の命日なり

 

過去は 御先祖様の命日なり

現在は 父と母そして息子の命日なり

未来は 私と私の妻の命日なり

 

毎年が 命日なり

毎日が 命日なり

 

祥月命日なり

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空から見ていると-自死した息子より

2010/02/28 05:04

 

おやじ

空から見ていると

元気そうじゃないか

 

おれが生きるために

死を選んだのは

間違いじゃなかったよ

 

だから安心して

養生して

長生きしてくれよ

 

おやじ

それがおれへの

供養になるんだから

 

おやじ

空から見ていると

酒の飲みすぎじゃないのか

 

おれはおれで

元気で死を生きているから

心配しないで

 

おやじはおやじの

生を全うしてくれよ

それではまた連絡するから

 

あ、そうそう

おれの一周忌ありがとう

母さんによろしくいってくれ

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死ぬなよー自死した息子に

2009/10/02 19:35

 

死ぬなよ

晴れた夏の日に

 

死ぬなよ

雨の降る秋の日に

 

死ぬなよ

雪の降る冬の日に

 

死ぬなよ

曇りの春の日に

 

生きるためとはいえ

あなたは何故、

 

行年30歳

母親の古希の祝いの年に

 

両親に先立ち

自らあの世に行ってしまったのだ

 

息子よ

あの世では、死ぬなよ

 

 

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鳥と蝶と私

2009/06/14 12:45

 

春になって

鳥が土をついばむと

土から芽が出て

夏には花が咲いた

 

夏になって

蝶が花にとまると

花が散って

秋には実がなった

 

秋になって

鳥が実を食べると

実を成らした草木が

冬には枯れた

 

冬になって

蝶が舞う日に

鳥が飛び去り

春には私がいなくなった

 

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ご愁傷様

2009/05/05 12:57

 

祖父母が、両親が

兄弟姉妹が、友人知人が

そして、有縁無縁の

生きとして生けるものすべてが

嘆き悲しむのを知っていながらも

あなたが死を選んだのは

あなた自身が生きるためには

それしかなかったからだ

 

法名 釈永遠

没  ○年○月○日

俗名 ○○○○(仮名) 行年○○歳

 

あなたの自死を生かすために

私にできる供養と言えば

故人の冥福を祈りながら

そして、有縁無縁の

生きとして生けるものすべてが

天命を全うするよう

祈るしかない

 

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悟りの風景

2009/03/01 05:47

 

年を取って

物忘れしないような

年寄りは

年寄りではない

 

年を取って

物も欲も忘れ

自分が誰かも忘れて

年寄りになるのである

 

年寄りは

何にでもありがとう

ありがとうと言いながら

悟りを開いていくのである

 

年寄りは

その人の人生にふさわしい

悟りの風景の中で

生きているのだ

 

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淡雪

2009/02/01 04:36

 

 

雪の結晶が

いくつか結びついた

雪が降ってきた

 

庭先をうっすらと

白く染めて

雪が降り止んだ

 

それでは

時節柄

御自愛ください

 

一通の手紙を

読み終わると

雪は溶けてしまった

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雪女

2009/01/03 04:33

 

太郎の

屋根に雪が

降り積もる夜

 

白ずくめの姿で

若い雪女が

太郎の家にやってきた

 

太郎が

雪女を抱いて

翌日、目を覚ますと

 

太郎の母が

梁に首をつって

死んでいた

 

二郎の

屋根に雪が

降り積もる夜

 

白ずくめの姿で

老いた雪女が

二郎の家にやってきた

 

二郎が

雪女に抱かれて

翌日、目を覚ますと

 

二郎の嫁が

梁に首をつって

死んでいた

 

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白鳥よ

2008/12/01 06:55

 

 

青空が

目に染みるから

泣いているのか

白鳥よ

 

あなたの

こぼした涙で

湖面が濡れて

水が泣いている

 

家族そろって

無事に渡ってきたのに

何がそんなに

悲しいのだ

 

青空が

目に染みるから

悲しいのか

白鳥よ

 

わたしが

泣いているのは

あなたの羽が

水に濡れているからだ

 

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ミステリアスな事件

2008/11/01 04:27

 

とことこと

マッチ箱のような

列車が走っていく

 

車窓から見える

山あいの紅葉を見ながら

初恋の人を思い出したら

 

運転手も車掌もいない

列車は私一人を乗せたまま

トンネルに入った

 

窓ガラスに

映し出された翁は

どこから乗ったのだろう

 

トンネルを抜けると

列車は駅に着いた

私は駅に降り立った

 

列車は媼を乗せると

地図にない線路の上を

とことこ走りだした

 

翁と媼を乗せた

列車は鉄橋を渡りながら

脱線した

 

谷底に消えていく

列車を見送りながら

私は真っ赤になった

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